R75 10km「夏の終わり」

今日9月の第一週目の月曜日はレイバー・デー(Labor Day)のため休日です。ニューヨークではこの日を境に夏が終わります。といっても日本で「盆を過ぎた海にはクラゲが出る」というのと同じような、季節の移り変わりを象徴する節目なのです。そんなわけで休日の今日はいつもよりも早くパークへと走り出しました。そこで「はっ」としたのは、背の高いシュガーノルウェイ・メイプルの木の葉が、すっかり黄色に変わり既にパークドライブの落ち葉となっていたことでした。少しずつ夏の終わりは感じていたけど昨日までは気がつかなかったから、一日の間に様変わりしたに違いありません。まるでカレンダーどうりに季節が流れて行くことに少し寂しさを憶えます。もう戻らない夏が過ぎて行く。45回も過ぎて行く。

夕方から雲が低く雨に降られるかもしれないと、iPhoneを防水できるZIPLOCを準備したのですが、幸い降らずに気温も快適で、初めて1キロ5分30秒のペースで10キロのフルループを走ることが出来ました。休日だけあって、ベビーカーを押して走るカップルや沢山のランナーがいます。ところでいつものNike+Running Appは、登録すると自分と同じルートを走っている他のランナーのタイムや走行回数、自分との比較が出来ます。このAppを含めいくつかあるNike+のギアを使っている人で登録した人に限りますが、それを見るとなんと一番速い人は平均1キロ2分15秒のペースで回っています。ということは一周23分弱。これはプロ以外の何者でもないでしょう。あるいは自転車なのか?このペースでマラソン走ったら世界新だし。。。実際、僕が全速力でも明らかに追いつけないスピードで追い抜かれ、あっという間に遠くに消えていくランナーは沢山います。平均1キロ5分30秒のペースで走った僕は1241番目にランクインです。同じAppを使って登録した人の中で僕より速く走る人が1240人いるってことは、このセントラルパークで走っている人はいったい何人いるのでしょう。

地面を蹴る感覚が好きです。疲れてくるとただ足を持ち上げているだけになってペースも落ちるのですが、この10キロを最後までグングン蹴って走れるようになりたいっと思いはじめました。

もっと走ろう!

R74 10km「ランニングシューズ」

5月のはじめに走りはじめた頃は、リーボックのランニングシューズを履いていました。確かあれは6年以上前のこと、ユニオンスクエアーのスポーツ専門店 Paragon Sports のクリアランスのコーナーで、サイズがぴったりだったあのシューズを見つけました。これでイーストリバー沿いでも走ろう!っと当時ローワーイーストに住んでいた僕は、思い立って購入しました。その後2度だけ、5ブロック程東のイーストリバー沿いにあるランニングトラックまで走ったのを最後に、箱にもどされクローゼットの奥にしまわれたままになっていました。3年前にアッパーウエストサイドに引っ越しする時も捨てなかったのはどこか後ろめたさがあったわけで、新たに走りはじめてその靴を履けたのは、貯まったツケを一気に返せたようでとても気分が良かったのです。しかし、履いてはいなかったとはいえさすがに6年も放置していた靴 、経年劣化のせいで固くなったゴム底の一部がアッパーから剥がれはじめ、2ヶ月も立たないうちに新しい靴を買うことにりました。

6月の終わり頃、家の近所のランニング専門店、その名もSuper Runners Shopに靴を見に行きました。お店に入ると絶妙な色合いのNIKEや真っ黒なNEW BARANCE、変わった靴底のADIDASなどが目を引き、どれにしようかわくわくしました。お店の人がさっそくアドバイスしてくれるのですが、まずは裸足で歩いて見ろと言うのです。さらに体重と週に何れくらい走っているのか訪ねられ、「週に5日、距離は4マイル程」っと僕は実際の週4日3マイルより少し多めにそして得意げに伝えました。そして彼女が進めてくれたのが今履いてるBrooks Adrenaline GTS 12というモデルなのです。最初見た目が気に入らず、あのAdidasはダメなの?とか、このオレンジ色のはダメなの?と訊いたのですが、僕の足は「幅広でアーチが低め、地面を踵の外側から足先の内側を使って蹴る傾向があるので、これしかありません。」っと言い切られてしまい、テンションが一気に下がったのを憶えています。見た目は大事なのですよ。どうにも購買欲が下がってしまい目を泳がせていたら、「もしも僕が足の踵からではなく平の部分で着地するならば、PureFlowというモデルは走り安い」とすすめてくれました。随分軽装な感じのこの靴、例えばこれで10マイル(16キロ)走っても大丈夫なのか訊いたら、彼女はこのPureFlowで20マイル走るとのこと。さっき4マイルと僕が得意げに言ったときの彼女の表情の意味がわかりました。さてさて、履いてみるとPureFlowは足先が靴の中で自由に動く感覚、Brooks Adrenaline GTS 12の方はフィット感がありましました。クッション性に優れて、足の内側をサポートすると言うことだっので、このAdrenaline GTS 12を買って、現在この靴で309キロ走るに至と言うわけです。

 Brooks Adrenaline GTS 12

とても気に入り、おかげでその後毎日のように走っています。何も考えずに足を動かしてどんな風に着地しても、それをうまく受け止めて推進力に変えてくれるうな安心感があります。 それにこのさえ見た目なんかどうでもいい。というよりこれカッコいいかも?と思うくらいなのですが、実は最近すこし違和感を憶えはじめています。この靴のクッション性や足の内側のサポートは素晴らしいのだけど、もしかするともう少し地面を感じて蹴る感覚があった方が楽しく楽なんじゃないか?とか、そういえば走る時はいつも踵からではなく、足の裏の中心より少し前で着地する様に意識しているし、足の運びもなるべくまっすぐに地面を蹴る様に心がけているので、かえってこのサポートが邪魔になっているんじゃないかとか、走っている間靴に意識がいっている時間が多くなっています。少し走れるようになって、といっても10キロを1時間で走るのがやっとですが、あの店員さんがすすめてくれたこのAdrenaline GTS 12の意味が今とてもよく理解ます。Brooksのサイトにある靴選びのアドバイザープログラムでも、やってみるとこの靴しか出てこないから、それを瞬時に僕にアドバイスしてくれたあの人はさすがですね。というわけで今はもう一つのPureFlowに興味新々。

 Brooks PureFlow

しかし冬になったら冬専用の靴がいるのかな? 走るのはタダでは無いですね。でもジムに通うよりは随分安いですよね。

さあ走ろう!

今日も走ります

ニューヨークに移り住んでかれこれ15年。イヤイヤ期に突入した息子と片付け上手な名古屋っ子の妻を持つ40代の僕が走ろうと思い立ったのは、セントラルパークにほど近い今のアパートに引っ越してから3年目の初夏のことでした。この街で暮らすのもそう長くはないかもしれないと考えたとき、「この美しいセントラルパークの四季を走り、肌で風をうけ、呼吸し、踏みしめたい。」という思いが湧いてきました。

なにしろ長年ガレージの奥で埃をかぶり錆だらけになった年代物の車を走らせようというのですから、万が一に備えて保健カードをポケットに入れて、無理をしないように休みながら少しずつ走りました。20年以上のほとんどの時間をパソコンの前に座って過ごしていたので、自分の体がどこまで応えてくれるのか分からなかったのです。

1キロ先のレザボア(ため池)まで走ろう、池を一周しよう、ループに出よう、そうやって毎日少しずつ記録を更新しています。すっかり走るのが好きになり、これから何処にいてもずっと走り続けたいと思うようになりました。きっと距離や時間の記録には限界があるのかもしれません。それでも毎日が昨日とは違う新しい記録です。A New Record! Everyday.

もしニューヨークに来たらぜひセントラルパークを走ってみてください。一周9.7キロのパークドライブのフルループやレザボア(ため池)の周り2.8キロを走れば、ジョギングやサイクリングを楽しむたくさんの人や、ホタルや蝶、リスやアライグマ、季節の草花や表情を変える木々の葉、そして僕GTに会えるかもしれません。